マスクが原因で気づけない? 要注意〝コロナ夏〟の「かくれ脱水」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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マスクが原因で気づけない? 要注意〝コロナ夏〟の「かくれ脱水」

「息苦しい」「だるい」は不調のシグナル!? 脱水・熱中症を防ぐ心得

こまめに少量ずつの水分補給が脱水予防の要

「脱水を防ぐためには、日頃から1時間にコップ0・5杯(約100㎖)を目安に水分を摂るようにしてください」と石原さんはアドバイスする。さらに、起きたときや入浴前後など、特に意識して水分補給をしたほうがよいタイミングもあるが、まずは水分補給そのものを習慣化するのがいいと言う。
 コーヒーや緑茶はカフェインによる利尿作用があるので控えめにしたい。またジュースは、1日の必要摂取量以上の糖分が含まれているものがあるので注意が必要だ。
 また、運動をするときや脱水気味のときなどは、適度な塩分と糖分のある飲料を飲むと水分の吸収率が比較的高まり、バランスよく取り込むことができる。その点からも、スポーツ飲料はエネルギー補給に加え、脱水対策にもなる飲み物といえる。
 しかし、生活習慣病を気にして甘い飲料には抵抗がある方もいるだろう。そんな場合でも、「はちみつとレモンをお湯や炭酸ジュースで割ったものや、黒砂糖を溶かしたものなどは、糖分だけでなくビタミンやミネラルを含んでおり、血糖値の上がり方が緩やかになるのでおすすめです」と石原さん。既製品で好みのものがなければ、自家製ドリンクを試すのもよいだろう。

【摂取のタイミング】

寝る前と起きたとき
睡眠中は水分が摂れない上に、寝ている間に人は約500㎖も汗をかくといわれている。寝る前と起きたときにコップ1杯程度の水を飲むようにしよう。

日中の活動時
まずは休憩の度に水分を摂ること。室内でもエアコンなどで空気が乾燥していると脱水しやすいため、油断は禁物。また、車に乗るときや外出するときは忘れずに飲み物を持ち歩こう。

入浴するとき
入浴中は脱水しやすいため、入る前に水分を摂り、風呂上がりにもしっかりと水を飲む(目安約150㎖)ようにする。
【水分補給時の飲み物に注意】
水や麦茶
日常的に飲むなら、カフェインを含まない水や麦茶がおすすめ。脱水になりやすい夏場は一度にまとめてではなく、できるだけこまめに水分補給をするように心がけたい。

コーヒー、緑茶、ジュース
カフェインの含まれる飲料には利尿作用があり、他の飲み物に比べて水分排出が早くなったり多くなったりする。また、多量の糖分は水分の吸収を悪くするため、ジュースも飲み過ぎに注意したい。

アルコール飲料
アルコールによる新陳代謝の活発化に加え、特にワインやビールなどはカリウムを含んでおり、利尿作用があるので要注意。アルコール類を飲む場合は必ず水も飲むようにする。

 

気温28℃で要注意
環境省発表の気温と熱中症患者発生率の関係を表したグラフ。28℃を超えると患者が急増している。

 

熱中症のカギは体温調節ができるかどうか

 多くの場合、脱水症から熱中症になるが、水分が足りなくなり症状が出る脱水症に対し、熱中症は体温調節ができなくなることで発症する。
 通常であれば、汗をかいたり皮膚の表面から放熱することで体温はコントロールされているが、脱水によって体内の水分が失われたり、あまりの高温で発汗などでは体温を下げられなくなると熱中症の症状が現れる。
 環境省の熱中症予防情報サイトによると、28℃を超えると大幅に熱中症患者が増加していることが分かる。

常に隣り合わせの熱中症と夏血栓のリスク

 脱水による体内温度の上昇も一因となる熱中症。発症のピークは7~8月といわれるが、近年は5月頃から初夏の暑さとなり、熱中症患者のニュースを聞くことも増えた。特に、高温多湿な日本の夏には、熱中症の集団発生や、死亡者が出ることも少なくない。
 もっとも、軽度の場合は適切な応急処置を施せば、大事には至らない。まず涼しいところに移動させて、ベルトやシャツのボタンなどを外し、身体を締め付けているものから解放しよう。血圧が低下している場合は、台の上に足を置いて高くして寝かせる。経口補水液やスポーツドリンクで水分を補給しつつ、濡れたタオルなどで首やわきの下、足の付け根を冷やすと、軽度であれば回復する可能性が高い。


 そんな熱中症よりもさらに恐いのが夏血栓、つまり夏の脱水から誘発される脳梗塞だ。いったん夏血栓に陥ると、一般の人では回復させることができないため、すぐに救急車を呼ぶなど専門機関に頼るようにしたい。
 夏は食欲減退から栄養バランスが偏ったり、運動不足になったりとそもそも身体の不調を招く可能性が高い。さらに、肥満や多量飲酒、喫煙などの生活習慣がある場合はよりいっそうの注意が必要だ。

熱中症よりさらに恐い! 夏血栓
夏血栓とは夏場に多い、脱水に起因する脳梗塞のこと。動脈硬化で血管が細くなっている場合、脱水症状によって血液中の水分が不足して血液の粘度が増し、血栓ができやすくなるのだ。脳梗塞は半身麻痺や言語障害など重い後遺症が残ることもあり、命にもかかわる恐ろしい症状である。

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